新築戸建ての保険は火災保険・地震保険だけではありません。
実は住宅の品質を10年間保証する保険もあります。
住宅購入後の10年保証の正体は、「住宅瑕疵担保責任保険」というものになります。
簡単にいうと、引渡しから10年以内に購入した工務店・建売業者が倒産しても10年以内であれば保険金にて保証してくれるという画期的な保険です。
なぜこの保険ができたかというと・・・
姉歯一級建築士の偽造問題で、欠陥住宅を購入した消費者が泣き寝入りしてしまったから。
それ以来、木造住宅では10年保証が当たり前になりました。
実はこれは一昔前には全く考えられなかったことですよ。
今日は住宅瑕疵担保責任保険はどういう保険なのかをお伝えしていきたいと思います。
目次
10年間の住宅保証しないと新築が販売できない!?
まずみなさんにあえて言いますが、
「うちの工務店だけ、もしくはこの建物だけ10年保証がついています。」っていう営業には
絶対に騙されないでください!
もしそんなことを言っている営業マンがいるとしたら、その営業マンは知識不足の新人か、売ったら売りっぱなしの営業のどちらかになります。
宅建業法では瑕疵担保責任についてこう定められております。解りやすくご説明するために引用いたします。
新築住宅の請負人または売主(建設業者や宅地建物取引業者)が、平成21年10月1日以降に、新築住宅を引き渡す際には、「住宅瑕疵担保保証金の供託」または「住宅瑕疵担保責任保険への加入」が必要になります。
①過去10年間の供給戸数に応じて「住宅瑕疵担保保証金」を供託 毎年2回の基準日(3月31日・9月30日)において、過去10年間に引き渡した新築住宅の供給戸数に応じて算定される住宅瑕疵担保保証金を供託します。一旦供託すると10年間は基本的に取り戻すことが出来ません。
②「住宅瑕疵担保責任保険」への加入
国土交通大臣が指定する保険法人と保険契約を結びます。保険料は掛け捨てになります。保険の申込は、保険の現場検査を実施するため、建築工事の着工前に申し込むことが必要です。
出典:http://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/info/license/warranty.htm
要するに、基準日までにお金を供託(不具合が起きた時に使うお金を預ける)か今回のタイトルにあります「住宅瑕疵担保責任保険」に加入しなければならないんですね。
当然基準日から3週間以内に供託か、保険に加入しなければ、基準日の翌日から50日後から新築戸建が販売できないですよ!!
だから新築建売業者や注文住宅やマンションでも必ず10年保証を行わなければならないのが現在の法律です。
住宅の10年保証は法律で定められていることを、知識のないお客さんにすごいと思わせているだけで、当たり前の事を言っているだけに過ぎません。
具体的な住宅瑕疵担保責任保険の仕組みとは?保険料は買主が払うの?
住宅瑕疵担保責任保険は住宅事業者(建主)が住宅瑕疵担保責任保険法人に保険料を払う事で、建物が保険に加入します。
加入した建物をお客様であるあなたが購入するのです。購入者が保険料を支払う必要がございません。
当然保険対象部分の不具合が発生した場合は、住宅事業者が倒産していなければ、住宅事業者に保険金を支払いそのお金で補修し、万が一住宅事業者が倒産してしまった場合でも保険金をもとに他の工務店で治してもらうことができます。
出典:http://www.shibata-home.co.jp/support/02.html
そもそもなぜこの保険ができたかというと、平成17年に起きた姉歯1級建築士による、構造計算書の不正により、不具合のある建物を購入された方が増えて、更に言えば補修等を逃れるために計画倒産をして、泣き寝入りをする一般消費者が沢山出てきてしまいました。
そこで新築を販売する業者は業者負担で保険代を支払い、10年間は保証しなくてはいけないという法律に強化されたのです。
何でも保証対象ではない!保険対象は基本的構造部分のみ
この保険は住宅の不具合の何もかも補償対象ではなく、あくまでも基本的構造部分のみが対象になります。
例えば、網戸の取り付けが悪くなったから保険金で治してほしいっていってもダメです(笑)
下の画像が保証対象部分になります。
出典:http://homex.co.jp/service/insurance/
実際の瑕疵の例でいうと、普通に使っていて雨漏りがしたり、地盤は問題がないのに家が傾いたなどした場合は、保険会社の現場調査をするものが調査して、該当する場合に保険金をもらうことができます。
当然クロスなどの小さい傷については、保証の対象になりません。模試クロスを治したいのであれば下記の記事どうぞ
保険金がもらえない場合の具体例は?
・自然災害に起きた事故によるもの・・(地震・火災・風災)などは火災保険と地震保険が対象になりますので、住宅瑕疵担保責任保険は使えないです。
・自分自身で故意に追加工事をして、起きてしまった不具合・・・よく聞く例として屋根にソーラーパネルをつけるとします。
ソーラーパネルは筆者の実家にもつけておりますが、大体縦1m×横1mで100キロぐらいの重さがあるそうです。
そんな重いパネルをいくつも付けるわけですから、屋根に荷重がかかり、構造上必要以上の荷重がかかった結果!
屋根が壊れてしまったり、また荷重の影響で隙間ができてしまい雨漏りが起きたというケースを聞いたことがあります。
そして保険金が貰えないポイントで一番気を付けなければいけないのが!!
「白アリによって被害が出てしまった場合!」
白アリによって被害が出るということは、築年数が経つにつれての経年劣化「自然的なもの」と解釈されるので、床下が白アリに食べられてしまっていた場合は・・・・
瑕疵担保責任保険の対象になりません!!
ちなみにあくまでも白アリ被害は瑕疵担保責任保険では対象になりませんが、民法上の瑕疵には該当します。
白アリについては各会社の保証期間がありますが、恐らく大体2年~5年までの間になります。
それ以降については対象にならない会社が多いのも事実ですから、実費になりますが白アリ対策を行う必要があります。
不具合が出た出た場合、最低いくら保証されるの?
住み始めて10年以内に不具合が生じてしまった場合はいくらまで保証されるのでしょうか?
答えとしては、最低2,000万円以上を保証しなさいと法律上定められております。
大体の建売業者は建物が2,000万円以上することが無いので、もし建て替えするとしたとしても2,000万円あれば購入した建物は立ちますので、ご安心ください。
ただ保険金の支払い方法については注意点があります。それは10年間の間は何回でも2,000万円支払うわけではなく、
10年で2,000万円まで保証対象ってことです。
この図では2回瑕疵があった場合のもので、1回目に雨漏りで500万円を受け取ってしまうと、2回目の建て替え時には1,500万円までしか貰えない仕組みになっております。
保険証券書は住まい給付金でも必要!
建物の引き渡しを受ける前に、保険証書の発行手続きを行います。
発行した証券書は保険に加入しているという書類になりますので、大切に保管してください。
この証券書ですが、実は住宅を購入するとお金がもらえる「住まい給付金」を申請するときに必要な書類になります。
住まい給付金の申請の仕方についてはこちらの記事でご紹介させていただいております。
住まい給付金は最大30万円貰える制度ですので、ぜひ活用してくださいね。
まとめ
・住宅瑕疵担保責任保険とは新築戸建やマンションを販売する事業者がほとんど加入している保険であり、構造部分の不具合を10年間で最低2,000万円を保証してくれる保険
・住宅瑕疵担保責任保険の支払いができないケースとしては、故意事由で起きた不具合・自然災害により不具合・白アリなどの自然劣化による不具合
・住宅瑕疵担保責任保険の保険証書は住まい給付金を申請するときの必要書類になる。住まい給付金を受けると、最大30万円をもらえることもある!
いかがだったでしょうか?
この記事を読んで、新築戸建の購入を不安に思っている方が少しでも安心できるような記事であれば幸いです。
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火災保険の費用はこちらでチェックできます。