賃貸住宅を仮申し込みなどをする際に、申込金を賃貸の1カ月分を払うのは不動産の慣例になっておりますね。
東京都では賃貸住宅・売買の契約の際の申込金を不動産屋が受け取ることを条例で禁止している会社がありますが、ほかの県で賃貸住宅を借りる場合は、不動産屋に申込金を払うのが一般的にですね。
検索で申込金・キャンセルと調べた場合、検索で出てきたすべてのサイトでは申込金は返金されるという内容が記載されております。これは宅建業法にも定められております。
宅地建物取引業法施行規則 – 第十六条の十二 – 二
宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
出典:宅地建物取引業法施行規則
つまり不動産屋に申込金を渡した後にキャンセルをしたとしても、不動産屋は申込金をあなたに返却しなければいけません。
しかし!?
これ・・・・宅建業法に関係する不動産屋だけの話です。
この重要ポイントを、残念ながらほかのサイトの運営者は全く理解しておりません。
厳密に言えば「宅建業法に該当する不動産屋は申込金を返却しなければなりません」ってことです。
ということは宅建業法に該当しない不動産屋であれば・・・・・
申込金を返金する義務がない!ってことですよ。
それってかなり怖いですよね。
今回は申込金が返金しなくてもよい物件の特徴及び、対策方法をご紹介させていただきます。
目次
申込金を返金する義務がない物件の特徴は取引形態が貸主物件
多くの方は不動産会社による仲介によって賃貸物件を紹介されているケースがほとんどの為、申し込みが返金されないということはありません。
なぜなら不動産屋が仲介を行う場合は宅建業法に関連することになるからです。
しかしまれに仲介会社ではなく、アパートを運営している不動産会社に出会うことがありますよね?具体的にはこのような企業です。
☑レオパレス
☑大東建託
☑不動産屋がサブリース・転借している物件
例えばレオパレスの1部屋を地元の不動産屋を経由して契約した場合は、地元の不動産屋に申込金を預けたとしても宅建業法になるので返金はされるうえ、契約前には重要事項説明書にて賃貸物件の説明を受けることができます。
一方でレオパレスの物件をレオパレスにご案内されて契約した場合はどうでしょうか?
この取引の場合、レオパレスとあなたの間には不動産屋がいないので直接取引という形になります。(貸主:レオパレス 借主:あなた)
この場合、レオパレスは宅建業者なので宅建業者が適応されるかと思いきや、実は宅建業法に該当しません。
③ 自ら貸借する行為
宅地建物の貸借の場合は、媒介行為と代理行為だけが宅建業に該当する。
自らが貸借する行為は宅建業に該当しない。転貸(サブ・リース、又貸し)の場合も同じである。このことから、宅建業者が自ら所有しているマンションを賃貸したり、宅建業者がマンションを一括借上げして転貸するときは、宅建業者が自ら貸主になるため宅建業法は適用されない。
つまり宅建業法に該当しないので、貸主に申込金を支払った後にあなたがキャンセルしたとしても返金する義務はありません。
申込金を返金しなければいけないというのは宅建業法の決まりであり、宅建業法に該当しない貸主は返金しなくても宅建業法に違反していないのです。
ちなみに貸主物件は重要事項説明書も読む必要がありません。
この件を確認するために東京都の相談窓口で賃主の申込金の返金について相談しました。すると予想通りの回答が・・
貸主物件の場合は宅建業法に関与しないので、東京都の方で指導することはできないでしょうね。
宅建業法ではなくて民法に基づいて対応することになると思います。
まあそうなるでしょうね・・・(汗)
民法のルールでは契約書は不要!賃貸借契約は口頭で成立する諾成契約に該当する。
一般的に思う賃貸借契約は書面で締結するのが普通なのですが、民法上の話だと実は賃貸借契約は口頭で成立する諾成契約に該当します。
賃貸借契約は,諾成契約です。諾成契約とは,要するに,書面の作成等何らかの要式を具備しないでも成立する契約のことです。端的にいえば,口頭で賃貸借の約束をしただけでも,契約は成立するということです。
出典:不動産問題ネット相談室
諾成契約の怖いところは、一度でもいくらで借りるなどと言ってしまえば、その場で契約とみなされてしまう事です。
書面に記名押印していないから大丈夫と言っても民法では契約になってしまいます。
ただ現実的な話で、仮に裁判などでもめた場合は口頭で契約として認められないでしょう。
よって契約したことを書面に残しておくのが一般的です。
最悪なシナリオとして、あなたが借りると発言した後に申込金を払いキャンセルをしたとします。
貸主物件は借りるといった時点で契約です。
契約の違約金として申込金を没収ってことだってなくはないんですよ。
悪徳不動産会社はこの手の民法のルールはめちゃくちゃ詳しいです。録音なんてされてたら一発で終わりですからね・・・
更に申込金の預かり証に「キャンセルした場合、違約金といたします」と記載されていたら最悪ですね。
わが妹は貸主物件で申込金を入れようとしていたので、兄として止めました(笑)結果、申込金を払わずにその物件を契約したので、良かったなと思っております。
申込金が戻ってこないことを防ぐための2つの方法
仲介手数料無料の物件は貸主物件の可能性がある。取引形態を絶対に確認。
仲介手数料が不要の物件の特徴として、貸主が仲介手数料を全額負担している物件と、直接取引の貸主物件の可能性があります。
仲介手数料を払う物件は宅建業法に適用するので安心してください。
仲介手数料が不要だった場合は貸主物件の可能性があります。
貸主物件は仲介手数料が不要物件の為、メリットが多いように聞こえますが、重要事項説明書も読む義務もない、申込金返金義務もないという上級者向けの物件です。
貸主物件を確認する方法としては、担当者に聞いてみるのは一番早いです。
貸主物件の場合はメリットが多いので営業トークで気持ちよく教えてくれるでしょう。
教えてくれなかった場合は、図面に取引形態が必ず書かれております。
これは宅建業法上でも取引形態の明示が義務づけられております。
宅地建物取引業者が、取引の広告および取引の受注において、その取引態様を明示することをいう。
「取引態様」とは宅地建物の取引の形式をいい、
1.自己が契約の当事者となる(自己取引)、2.代理人として契約交渉等に当たる(代理取引)、3.媒介して契約を成立させる(媒介)の3つに分かれる。
出典:アットホーム
貸主が宅建業法に当たらないのはその取引だけであって、普段は宅建業者に該当するので取引形態の明示を行わないと宅建業法違反に該当します。
販売図面の下の方に取引形態が記載されておりますので、媒介か貸主かをチェックしましょう。
貸主物件の場合は申込金を出さずに契約することを交渉。ダメな場合は預かり所に返金する旨を記載してもらう。
上記の方法で取引形態を確認し、貸主物件だったとします。
その物件をどうしても借りたい場合は、申込金が返金されるかどうかをまずは担当者ベースで確認しましょう。
(いい加減な担当者も多いので、ここで鵜呑みにしてはいけません。口頭ベースは言った言わないになります。)
まずは申込金を払わず契約の予約をする事ができるかを聞いてみます。
実際の実務上では申込金を貰わないのが難しいなどと言われると思いますが、少し粘ってみましょう。
それでも難しい場合は、申込金を払った後にもらえる預かり証に記載されている文言を申込金を払う前にチェックします。
預かり証に書いてある文言にキャンセルしても返金される旨が記載されていれば申込金を払ってもOKです。
まとめ
☑宅建業法に該当する取引形態が仲介・売買の場合は宅建業法に該当するので申込金を返金しなければならないが、貸主物件だけは宅建業法に該当しないので、返金する義務がない。
☑民法上契約は書面に書いていなくても口頭で契約したことになる。(諾成契約)悪徳業者は不動遺産のプロ中のプロだと思うので民法の抜け穴も知っている。
☑貸主物件を契約する場合は、申込金を払わなくても契約の仮申し込みができるかを確認し、できなければ、預かり証の文言にキャンセルしても返金してもらう旨の文言を入れてもらってから申込金を払う事!
下記の記事も賃貸住宅を借りるうえで参考になります。